本記事では、オンラインの開発プラットフォームmonacaでiPhoneアプリをビルドしてリリースする手順の前編として各種証明書の発行やipaファイルをビルド(リリースビルド)する手順をご紹介します。
コンテンツ
リリースビルドに必要なファイルについて
Androidアプリに比べてiPhoneアプリは証明書となるファイルが煩雑で少しややこしいです。
またリリース時に審査もあるためAndroidアプリに比べるとリリースまでの労力はとても多いですが、その分苦労を乗り越えればより大きな収益にも繋がるとも言えるでしょう。
まずは必要となるファイルとその意味を覚えましょう。
大まかに以下のような手順です。
- 証明書を作るためののリクエストファイル(monacaで作成)
- 開発者を証明するための証明書ファイル(iOS Dev Centerで作成)
- 自分のアプリを識別するIdentifiersの登録(iOS Dev Centerで登録)
- アプリを認識するためのプロビジョニングプロファイル(iOS Dev Centerで作成)
この4つを順番に進めていく必要があります。パスポートを取るために戸籍謄本が必要で、戸籍謄本を取るためにマイナンバーカードが必要なのと同じです。
なぜこんなにややこしいのかというと、アプリは時として大きな資産となります。
上田が指導しているメンバーの中だけでも1つのアプリで月に何百万も稼いでいる人がいたりします。年間で言えば数千万円という金額になる数字です。
会社などの組織では1つのアプリを何十人もの人数で開発することも少なくはありません。派遣社員のような外部の人間が開発環境に入ってくることも珍しくはないわけです。
悪意のある人間が開発環境にアクセスして、自由にアプリを改変できてしまうと大きなトラブルに発展することも考えられますよね。
なので、誰が、何処で、何のアプリを作ったのかを全てチェックすることでこの問題を回避するようにしているのです。
少しややこしいですが、済んでしまえば終わりなので頑張りましょう。それぞれ解説していきます。
※ この手順を進めるにはiOS Developer Programの登録が必要です。(年間$99)2020年2月時点で11,800円です。
証明書リクエストファイル(certSigningRequestファイル)の作成
証明書リクエストファイルは、iOS Dev Centerで証明書を作成するために必要なリクエストファイルです。
先の例で言うマイナンバーカードの部分ですね。
これはmonaca上で作成してダウンロードします。
以下のURLからmonacaにログインして適当なプロジェクトのIDE画面に入ってください。
秘密鍵とCSRの作成
monacaにアクセス
https://ja.monaca.io/
IDEを開いたら[設定]-[iOSビルド設定]をクリックして表示される画面から[秘密鍵とCSRの作成]をクリックしてください。
表示されたプロンプトで自分のAppleアカウントの名前とメールアドレスを入力します。国コードはJP(PCキーボードならJを入力すると楽です。)を選んで、秘密鍵とCSRの作成ボタンをクリックします。
ボタンをクリックしたらダウンロードウィザードに移るので作成されたリクエストファイル(ios.certSigningRequestファイル)をダウンロードしておいてください。
このリクエストファイルや次で作るcerファイルなどを一括して同じフォルダに保管しておくと、今後別の環境でアプリを作るときや誤って手順をやり直したいときなどに便利です。ビルドに必要なファイルはわかるところにまとめておくといいでしょう。(上田は開発というフォルダを作ってそこに全部入れています。)
これで証明書リクエストファイルの作成は完了です。続いて証明書ファイルを作りましょう。
証明書ファイル(cerファイル)の作成
cerファイルの作成です。これはアプリを誰が開発するか(開発したのか)を判定するファイルのようなものです。
先程ダウンロードしたios.certSigningRequestを使ってiOS Dev Centerで作成します。
まずはこちらにアクセスしてください
https://developer.apple.com/account/resources/certificates/list
Certificatesの欄の+をクリックします
次のページで何用のcerファイルが必要なのかを選択します。選択肢の中からiOS Distributionと書いてあるものを選んでcontinueをクリックします。iPhoneアプリ(iOSアプリ)の配布用(distribution)のcerファイルということですね。
そして、siginingRequestファイルをアップロードしてcontinueです。
最後にできたcerファイルをダウンロードして完了です。先程のsiginingRequestファイルと同じところに保存しておくといいでしょう。
Identifiers(App ID)の登録
それでは次は、Identifiersの登録です。
アプリごとに振り分けられるApp IDの登録になります。
Identifiersの登録
iOS Dev CenterのメニューからIdentiferのリンクを押すか以下のURLにアクセスしてください。
https://developer.apple.com/account/resources/identifiers/list
Identifersの横の+をクリックします。
今回はApp ID(アプリ用のID)を作るのでApp IDsを選択してcontinue
PlatformはiOSを選択、Descriptionにはわかりやすい説明(自分がわかればいい)を入力してください。ドットなどの記号は使えません。
App ID Prefixは初期選択のままでOKです。
Bundle IDのExplicitの例
Bundle IDはExplicitを選んで、入力欄にはnet.jp.apps.kojiueda.quizの形式の英数字でアプリごとにIDを決めます。
逆ドメイン形式で入力するのが習わしになっているので、ウェブサイトをお持ちの方は、自分のドメインを逆から入力して最後にアプリに関する単語、例えば日本史クイズアプリの場合はnihonshiquizなどをつけるのがいいです。1つのドメインを複数人で管理しているなどの場合は、ドメインに更に自分の名前などを足すなど工夫をすると良いでしょう。
例えば上田の場合は、apps.jp.netが運営サイトのドメインで名前がkojiuedaなので、日本史クイズアプリを作成している場合、
net.jp.apps.kojiueda.nihonshiquiz
↑こういう形になります。
入力が終わったらcontinue、次の画面でRegisterを押して完了です。一覧に先程登録したIdentifierが追加されているはずです。
ダウンロードするファイルなどはありません。登録したIDは次のプロビジョニングプロファイルの作成時に使います。
プロビジョニングプロファイルの作成
それでは次は、何のアプリを作ったかを証明するためのプロビジョニングプロファイルというものを作りましょう。先程と同様にiOS Dev Centerで作ります。
メニューにあるProfileリンクを押すか、以下のURLからアクセスしてください。
https://developer.apple.com/account/resources/profiles/list
Profilesの横の+をクリックします。
選択肢の中から、Distributionの中のApp Storeを選択してContinueをクリックします。
App IDは先程登録したものを選択して、Continue。
Certificateも同様に先程作成したものを選択します。
最後にファイル名を付けてgenerateで完成です。名前はわかりやすいものなら何でもOKです。
最終的にできたファイルをDownloadしておきましょう。これでプロビジョニングプロファイルも完成しました。拡張子はmobileprovisionとなっているはずです。
できたファイルをmonacaに登録
これまでの手順で必要なファイルは一式揃いました。
このファイルをmonacaに登録しましょう。
monacaのIDEを開いて、[設定]-[iOS ビルド設定]を開き、証明書(cerファイル)、プロビジョニングプロファイル(mobileProvisionファイル)の順でアップロードしてください。
証明書は複数登録しておくことができます。ワイルドカードのバンドルIDを使わない場合や、開発用(development)の証明書を作成した場合は、その分だけアップロードすればOKです。
登録した証明書は一覧に追加されていきます。
iOSアプリをビルドしよう
ここまでの手順でリリースビルドの準備は万端です。
早速作ったアプリをビルドしてみましょう。IDEメニューから[ビルド]-[iOSアプリのビルド]をクリックします。
リリース向けビルドのリリースビルドを選んで、ビルドを開始するを押せばOKです。
数分でビルドが完了します。完成したビルドファイル(ipaファイル)はPCにダウンロードしておきましょう。
これで一旦ビルドまでの手順が完了です。
後編でリリースまでの具体的な手順を紹介していますので、そちらも参考にしてください。
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